中島くんはいつの間にか私の家に住むようになった。
二人は家族のまねごとをするように小さな世界を作って日々を生きている。
ある日、みずうみの近くに住む彼の昔の友だちを訪ねることをきっかけに、
徐々に中島君の重大な過去が明らかになって…… 。
脆くあやうい日々の暮らし、そして家族のかたち。
絶望ととなりあわせで生きること。大切な人を失うということ。
それらは今も世界のどこかで起こり、存在しているだろう。
壮絶で悲しくも、すべてを包みこむような澄み切った優しさにあふれている。
なにも確かではないふたりの日々。
ただひとつだけ確かなことは、中島くんがまだ家にいて、
生きているということだった。(本文より) |