| 窓に向けてカメラを構えると、人々の人生の連なりが見え、「自分は生かされている」ということをひしひしと感じた。
−本人インタビューより(日本経済新聞 2008年11月26日)
『Inside- Out』は造形作家として国内外で活動する井上廣子が、ライフワークとして10年以上続けている、精神科病院や少年院など人が隔離されている建物の「窓」を撮影した作品です。
阪神大震災がきっかけで「窓」を撮影し始め、その後国内各地に限らず、海外の拠点であるドイツやオーストリア、またイエメンやアラスカへも足をのばしました。無機質な鉄格子、廃墟のような天井や壁、人の温もりがまだ残るベッドの上の布団……、ときにはカゴの中の小鳥のように、孤独と向かい合い、ときには絶望と隣り合わせになることもある。しかし閉鎖的な空間と対峙することでまた、人とのつながりの中にこそ希望があるということを実感します。そこで写された「窓」は、人が不在にもかかわらず、人の存在を感じられずにはいられません。
井上廣子の渾身の作品群が、殺伐とした時代に私たちは決して一人ではないということを静かに語りかけます。 |