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写真集『メキシコ:バロック』『メキシコ:ホテルズ』『ウルトラバロック』など、メキシコのデコラティブな教会やホテルを独自の嗅覚で捉えた写真で話題を呼んだ尾形一郎(当時は小野一郎名義)。約9年ぶりの新作では、世界5か国、6か所を妻である建築家・尾形優と共に現地へ赴き撮影したシリーズから成る濃密な一冊です。
アフリカの僻地、ナミビアの砂漠に埋もれていく、かつてダイヤモンドに沸いた街の痕跡。アールデコ風の室内を埋め尽くす大量の砂は、人間の欲望が形作った「家」そのものを飲み込むかのような、抗えない時の流れを感じさせます。その他、エーゲ海に浮かぶギリシャの島に佇む白い鳩小屋、日本の遊郭や霊柩車などから見える「サムライバロック」など全6か所を、家や建築が単なる造形物としてだけではなく、そこに住んだ人の痕跡までもを写し出すような眼差しで捉えています。
彼方から人は、夢や憧れ、名誉や栄光、そして虚栄心までもを「家」に託し、投影してきました。その刹那的な想いや有機物の無常さと、ユニークで美しく、時には過剰な建築の造形が共存した『HOUSE』は、建築写真の向こうへと私たちを誘います。
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